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『太陽の簒奪者』 野尻 抱介

2002年06月17日

 西暦2006年、高校で天文部に所属する白石亜紀は昼間に観測できる数少ない星「水星」の観測をしていた。少ない予算ではビデオの購入も出来ずもっぱら視覚が頼り。太陽との食を観測していた亜紀は水星の表面に奇妙な建造物を発見する。
 やがて太陽を取り巻く巨大なリングが形成されていく。異星人のものかどうかと言う前に、地球では太陽の光が遮られ環境の激変が始まった。リングの破壊を目指すが自動修復機能や防衛機能に阻まれて思い通りに行かない。大人になってた亜紀はリングを目指す宇宙船に志願して搭乗を果たす。やがて、リングの存在の意味が明らかになるが・・・。

 ずいぶん久しぶりにセンス・オブ・ワンダーという言葉を思い出しました。直訳すれば驚異の感覚。ありきたりの宇宙イメージばかりでなかなか新しい驚きには出会えませんでしたが、これはすごいアイデア。元になった短編の時に賞を取ったのも理解できます。ファーストコンタクト(異星人との接触)テーマとして、名を残していくでしょう。
 前に読んだ『ピニェルの振り子』で興味を持った作家だけれど、今後も注目していく必要がありそう。
 『太陽の簒奪者』 初版2002年04月30日 発行2002年05月15日
 (早川書房、単行本、ISBN4-15-208411-1 本体1500円+税)