1990年4〜5月 トルコ周遊の旅 (27/29)   

 
90年6月〜91年4月 「初めてのビデオ編集」

 帰国後、6名の方々から写真を送っていただきました。私もポジ・ネガを合わせて10本ほど写真を撮っていたのですが、個人の写真は少なめでした。でも、その他にも綺麗に撮れていたのを付けて返礼してました。
 その時に、ビデオ撮影分が合計で6時間半あったこと、出来れば編集して見せたい事などを書いたんだと思います。「楽しみにしてます」と書かれると、その気になってしまいました(^^ゞ。


 ビデオ編集とは書いたものの、何しろまともな撮影自体今回が初めて。どんな機材を揃えるのか、どんなことして編集していくのか全く知りませんでした。とりあえず、本屋に行って雑誌などを物色しつつ、電器屋に行ってカタログを揃えたり。

 まずは絶対必要なものとして、編集用のビデオデッキ。当時編集対応として出ていたのは、ソニーの8ミリデッキ「EV-S550」くらいだったので、これを購入。通常の音声トラックの外に、アフレコ専用のトラックもあるので、音を重ねての編集には便利でした。
 作品らしくするには文字を入れるタイトラーが必須です。そこで同じくソニーの「XV-J555」を購入。中味はMSX2のパソコンとか。考えてみると、今使っている松下のパソコンと同じトラックボール構造でした。直径5センチ以上のボールが上向きにあって、手のひらで動かすタイプ。ボタンも2個ありました。ソフトキーボードで、文字を入力するタイプです。
 音にもこだわりたいということで、家庭向きの簡単なミキサーも購入してます。同じくソニーですが、こちらはファミリースタジオというブランドの「XV-A33F」。画面の白または黒へのフェードイン・フェードアウト。音声も同様に出来て、これだけは今も現役です。

 他にも液晶テレビやら、ダビング用のS−VHSデッキなどを揃えて、総額は40万くらい。もう後にはひけません(笑)。

 6月頃、ようやく作業開始。

 編集の手法の本は、どれを見ても自分の役に立つような情報はなし。諦めて自分なりに作ってみることに。

 とりあえず、どのテープのどのあたりに何が写っているのかを細かくメモ。その中で使いたいシーン、使えるシーン、まったく使えないシーンを選別。6時間半の撮影分を、2時間に収めるのは大変です。これだけで、2ヶ月かかりました。
 同時に、どう構成するかを考えていました。映画を良く見ていたピーク時だったので、映画をイメージに作ってみることに決定。「オープニング」「各章」「エンディング」にして、各章は無難に時系列でまとめることに。

 「オープニング」は導入部なので、空港からイスタンブール市内に着くまでの映像をバックにしてみました。各章は今回の構成に近いように「××編」としてそれぞれ10〜20分程度に。また、これには訳があって、長時間編集作業を続けるのは大変なので、休むタイミングを取るためもあります。最後の部分を少し余分に録画しておいて、次の回には最後の部分を上書きして潰します。未信号部分があると画像が乱れるので。(でも発生してますけど)
 実際の作業は説明しにくいのですが、簡単に言うと切り張り作業です。ただ、当時の機械ではビデオデッキのカウンターが頼りで、スローや一時停止をすると、数秒なんて簡単に狂うので大変でした。反射神経と勘が頼りの過酷な作業でした。

 旅行ビデオにありがちな、写っているもの名称を文字でいれることも重要な作業です。有名なところはわかりますが、エフェソスのこの建物は?、となると全然わかりません。そこで、ガイドの人の説明をビデオを繰り返し見て(聞いて)、ガイドブックを睨みつつ少しずつ解読、わからないのはパスしました。
 他には受け狙いのコメントを入れます。喋っている言葉が解り難かったり、面白かったりすることも、文字で入れました。今のテレビでも多い手法ですが、当時に多かったは覚えてません。

 あとは、BGMの事。実作業は後ですが、どんな音楽を使うかは時間配分もあり編集前に一応考えます。欲張ってナレーションも入れる計画があったので、その部分の場所も事前判断が必要。これまた大変でした。
 ナレーションは自分ではやりたくなかったので、ツアー参加のひとりにお願いしました。幸い引き受けてくれたのですが、音響機器はないので、ビデオカメラのマイクで録音しました。

 当然台本はこちらで用意。一例を紹介しますと、イスタンブールでは、「トルコはヨーロッパとアジアの接点にあり、面積は日本の2倍、人口は約半分の国です。イスタンブールはトルコ最大の街。古くはビザンチウムと呼ばれ、のちにローマ帝国の首都となりコンスタンチノープル。15世紀にはオスマントルコに征服され、今のイスタンブールに改められました」なんて、真面目な説明が中心です。同じような事を今回の連載でも書いていますが、台本を引用したのではなく改めて書いてます。

 この時&今回利用したのは、『旅のガイドブック エジプト・トルコ・ギリシャの本』近畿日本ツーリスト発行。写真も多く参考になりました。そのためペルー旅行には近ツーを利用させていただきました(笑)。
 その他、参考程度に『地球の歩き方』を見ましたが、当時の本では、ガイドブックとしては役にはたちません。

 エンディングは、早朝のチャナッカレからイスタンブールへ向かうシーンと、自分&いただいた写真で構成。後に購入したHi-8のビデオカメラの前に、写したスライドをかざすように撮影したり、プリントした写真をビデオで撮ったりして、ビデオに取りこみました。今のスキャナー代わりですね。
 最後に寄せ書きした名簿を元に、参加者全員の名前を入れたり、BGMの曲名を入れたりと、テレビドラマのエンディングシーンみたいな形で構成。
 使ったBGMは唯一のトルコの歌、現代曲の「SINANAY(シナナイ)」です。歌手はセゼン・アクスさん。後に購入した細川直子さんの著書『普段着のイスタンブール案内』かその続編に、この歌手の事が出ていました。

 最後に「編集後記」を文字&BGMで入れました。恥ずかしいのでここには書きません(^^ゞ。

 苦労して出来上がったのは、旅から一年近く経った4月中頃。1年の土日の大部分を使ってしまいました。その結果が、2時間2分の作品です。