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『巡洋艦サラマンダー』 谷 甲州

2002年05月16日

 外惑星連合軍が劣勢を挽回するために投入した巡洋艦サラマンダー。今までは商船を改造した仮装巡洋艦ばかりであったため、新造艦には故障に供えて造船技師も乗り込んでいた。
 一応の成果をあげた作戦のあと、他の仮装巡洋艦を助けるための囮になっていたが、サラマンダー自信がエンジンの不調を抱える。敵の航空宇宙軍の包囲されつつあるが、燃料の補給にも失敗して追い詰められつつある。艦隊司令部からの常軌を逸した命令に対してサラマンダーの艦長はある行動を起こす。

 タイトルの「巡洋艦サラマンダー」に加えて「サラマンダー追跡」「アナンケ迎撃作戦」「最終兵器ネメシス」の4編を収録。どれも第一次外惑星動乱の末期の戦いを描いたもの。外惑星連合軍または航空宇宙軍の一方からのみの目で書かれているため、先の展開が見えず楽しめる設定。
 宇宙の戦闘物だとみんな熱くなってしまうのが多いけど、谷さんのは淡々と書かれていて味わいがあります。この本も10年以上前の作品。
 『巡洋艦サラマンダー』 発行1989年12月15日
 (徳間書店、文庫、ISBN4-15-030312-6 本体408円+税)